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37 フィルタリングソフトを信じすぎるな

2013/08/12 1:52 に ずきんはな が投稿   [ 2013/09/29 1:34 に更新しました ]
このコラムは、子供時代にフィルタリングを実際にかけられる経験をした学生さんにお願いして書いていただいたものです。


普段は親の視点で書くことが多いコラムですが、こういうことを教えてくれる学生さんたちに感謝して、押し着せではなく、またツールに頼りすぎない使い方を身に着けていかないといけないなと思います。

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私が小学校6年生になりパソコンを本格的に触り始めてから、数年に渡り両親と喧嘩を繰り返し対立し続けました。
理由は主に家のパソコンに導入されたフィルタリングソフトについてでした。
今になって思い返してみると、小学生が毎日のように帰宅後にパソコンの前に座りネットサーフィンを行っていれば確かに親は心配するでしょうし、フィルタリングソフトを入れたくなる気持ちも分かります。
しかし当時のフィルタリングソフトの精度はひどく、大手ゲーム会社の公式サイトですらアダルトサイト認定をしてしまうほどでした。

私は当時小学生向けのアーケードゲームの大会によく参加しており、それを通じて沢山の友人がいました。
学校以外での友人ができることがとてもうれしく、大会に参加することは数少ない学校外の友人と遊ぶ機会でもあったのです。
しかしフィルタリングソフトによってそのゲームの公式サイトがブロックされ、大会の日程やルールを確認することが出来なくなってしまいました。
両親にそのことを告げても「アダルトサイトに分類されるようなサイトのゲームをやっていたのか」と言われ、私の話に聞く耳を持たず、アーケードゲーム全般を禁止されました。
両親はパソコンについては本当に素人で、「フィルタリングソフトの言うことはすべて正しい」という考え方をしていました。

普段は何事も相手の話をよく聞き、正しい判断をしなさいと教育してきた両親が、私の言うことを全く聞き入れずソフトウェアの言うことにまるで奴隷のように従っている姿を見て、私は恐怖とそのせいで学校外の友人たちと遊ぶことができなくなったことによる怒りを覚えました。

私が中学生となり、調べ学習等で学校が指定したサイトが見れなかった場合のみ両親はフィルタリングを解いてくれたのですが、解除パスワードを打つときに手元を隠すこともなく、私をキーボードから遠ざけることもありませんでした。
おかげで簡単にフィルタリングの解除パスを手に入れることができたのですが、両親のパソコンに対する警戒心の低さに心から飽きれていました。銀行の暗証番号のときは何回も周りを確認してさらに手元を隠しながら入力するのに、パソコンのソフトになるとこんなにも適当になってしまうのかと。
私はこんな頭の弱い大人に首根っこを捕まれ、ネットでの行動を制限されているのかと思うと苛立ちが収まりませんでした。

家のパソコンに入っていたフィルタリングソフトは、ブロック機能の他に閲覧履歴の確認やブラウザを立ち上げて一定時間が経つと強制的にサイト閲覧が不可能になる機能が付いていました。
ブロック機能はパス入手によってなんとかなりましたが、残りの機能をどうやって回避すればいいのか。

反抗期も重なって親に目に物見せたかった私は、毎日のように図書館に篭りパソコンについて勉強しました。フィルタリングソフトの仕組みやそれに対抗する有効なフリーウェア、さらにその時にyoutubeのことを知り動画編集や音声編集等にも手を出しました。

中学校の最終学年になるころには、フィルタリングソフト等で親にバレることなく自分の見たいサイトをすべて見ることができるようになっていました。
その間に何度も両親を説得し、もっと精度の良いソフトに変えるか私を信じてソフトを消すかしてほしいと頼みました。

もちろん聞く耳持たれませんでした。

これらのやりとりや、親に隠れてこそこそパソコンを触ることに嫌気がさしてきた私は、最終的に粗大ゴミからパーツを拾ってきて自分専用のパソコンを作り、うっとおしいフィルタリングソフトの入ったパソコンは使わなくなりました。4年間に及ぶ親子間でのパソコン喧嘩は、こういう形で幕を閉じたのです。

このように最後までフィルタリングについて和解することがありませんでしたが、今となっては私は両親に感謝しています。

なんとかして両親に対抗したくて、死に物狂いでパソコンについて勉強した時間があったからこそ、私は今こうしてゲームクリエイターを目指して情報大学に通えているのだと思います。しかし、両親の行ったことが正しいとは思っていません。
結果として役に立ったのかもしれませんが、最後まで私の話に聞く耳を持たなかったのは事実です。ではどうすればよかったのでしょうか?

私は、とにかく両親にフィルタリングソフトのことを理解して欲しかったのです。
私の話を真正面から聞き入れ、話し合い、その精度の悪さと不便さを知って欲しかったのです。

今現在、一般家庭にはパソコンのほかにもネットワークに繋げる家庭用ゲーム機、そしてスマートフォンなどインターネットに接続できる機器が著しく増えました。子供にとってインターネットは家のおもちゃ箱よりもずっと楽しいものが出てくるブラックボックスです。

一度触れると離れられなくなってしまうほど強烈な麻薬に似ています。

使い方を誤ると取り返しの付かないことになりますが、正しい使い方をすれば期待以上の結果を出してくれるでしょう。
だからこそ大人には子供以上にインターネットについて理解しておいてもらいたいのです。
子供が間違った使い方をしていたらそれを正してやり、正しい使い方をしていれば褒めてあげてほしい。

自分の子供を思い、インターネットの害から守ってあげたいと思う気持ちは分かります。
しかしそのためにインターネットのいい部分までも除外してしまうのは何か違うと思うのです。
フィルタリングソフトを入れたからそれでおしまい、というわけではなく、子供と話し合い順序良くフィルターをかけていく方式がいいと私は考えます。
具体的には、まずフィルタリングソフトを入れ、ブロック機能をオフにし閲覧履歴の監視機能のみ作動させます。
子供達が使った後にどういうサイトを見ているのかをチェックして、有害なサイトを見ていた場合はブロックし話し合うなどです。

親の断定的な考え方で子供の自由を奪うことなく、そして子供の話を真正面から受け止める。
私は今後そういう考え方を持った親が増えていって欲しいと思っています。

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いかでしたか?
親となった今、私には、彼の両親の気持ちもわかります。
でも、自分が子供だったら、やはり、彼と同じように感じていたかもしれません。

子供と対話する時に真正面から向き合うようにしたいなと思います。