101 「知らなかった」から「聞いたことがある」を目指して

Post date: Jan 9, 2015 11:01:18 PM

2013年11月に開催された関西オープンフォーラム(以降、KOFと記述)にて、『「知らなかった」から「聞いたことがある」へ~「子供とネットを考える会」で考えていること』というタイトルで基調講演をさせていただき、気づけば、今年のKOFの日程告知が出ていて、もうすぐ一年だなと思い、改めてこの話を取り上げることにしました。

基調講演「知らなかった」から「聞いたことがある」へ ~「子供とネットを考える会」で考えていること

KOF 2013:関西オープンフォーラム2013

https://k-of.jp/2013/session/454

実は、講演後に「良いタイトル!講演でこの言葉を話してもいい?」と声をかけていただきました。

その方は、現在、奈良県でこの「知らなかった」と「聞いたことがある」という言葉をタイトルに用い講演をしてくださっています。

【携帯・スマホの「知らなかった」を「聞いたことがある」に変える講座】

- まんべん日記 ~平群町長 岩﨑まんべんの奮闘記~

http://blog.goo.ne.jp/manben_2009/e/7ca974975000517f2d0649ffb1173d57

「知らなかった」から「聞いたことがある」という言葉の輪が、少しずつ広がっているのだと感じています。

さて、子供とネットを考える会では、Facebookを通じて日々の情報公開と勉強会開催を行っています。

会を立ち上げてから1年半弱。そんな短い時間の間にも、私たちは多くの「知らなかった」に出会いました。

たとえば、ICT支援員という仕事について。

ICT支援員さんの存在は文科省のサイトを通じて知ったつもりでいていましたが、実際に勉強会でICT支援員をされている方とお会いし、文科省のサイトに書かれた言葉以上に現場で求められる内容が幅広いということを伺いました。

学校のICT化のサポート体制の在り方について

第3章 学校のICT化におけるICT支援員について-文部科学省

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08072301/001/004.htm

先日は、啓発活動を始められた企業の方に、ICT支援員さんすごいんだよ!なんて、知ったような話をしましたが、それも、出会いがあって活動について直接聞くことができたからだと思います。

また、今まで見ていた啓発動画や資料をFacebookで紹介したあとに、実際にそれらを作るきっかけになった出来事を体験された方からコメントをいただき、動画や資料に込められた思いを感じることができました。

山形県PTA連合会が制作した「インターネットを安心・安全に活用するために」という動画を紹介した際のコメント

https://www.facebook.com/SafeWebKids/posts/303440786483908

1年以上過ぎても途切れることなく啓発資料や、情報モラルに関する取り組みを紹介できるという事実から、実は、本当に多くの場所で啓発資料が作られていたことを知りました。

これは、子供とネットを考える会を始めようと思っていなければ、きっと出会うことのなかった資料や動画だと思います。

保護者や、教職員、情報モラルの指導を行っている人、セキュリティエンジニア、企業の広報担当の人、そのほか多くの人と話をして、一つの同じ言葉でも、立場によってとらえ方が異なるということを感じます。

『子供を思っている』という多くの経験を経た大人ですら異なるとらえ方をするのですから、子供だったらなおさらだという思いが強くなりました。

子供がより「安心」してネット接続ができるような環境を。

というフレーズにしても、保護者の「安心」と教職員の「安心」、エンジニアや企業の中の人が考える「安心」、子ども自身が考える「安心」は少しずつ異なっていて実はまったく交わっていないんじゃないか?と思う瞬間があること。

「エンジニアは技術に走りがち、心が大切」と仰る先生も居られます。

「技術で制御できるところは技術を使わないと」というエンジニアも居ます。

「"心"と"技術"を比較することがそもそも意味のないこと」と考える方も居られるでしょう。

そもそも、インターネットとは何か?と聞いたときに、同じ答えが返ってくるのでしょうか?

子供たちが彼らのセカイでツールを使いこなしている事実。

子供だけのナイショの言葉。

アカウント売買、ゲーム機の隠し場所、チート、プリカ購入、お小遣いサイト、テザリング。

お母さんたちが心配しているのは、ネットでの出会いやいじめについて。

既に、いけないことを知ってしまった子供たちにどう対応すればいいのか。

いろんな人と話をして、既に同じようなことが繰り返し言われてきていているのに、そこからの一歩がなかなか進まないと多くの人が憂う現状。

寝た子を起こしたらダメだからと、性教育もそうだけど、ちょっと踏み入って話すには保護者的にはキッカケもタイミングも、キリクチも取っ掛かりがなく持っていきにくいと思っている人の多いこと。

じゃぁ、明確に、どういう行動をとればいいの?と聞かれると、残念ながら私たちも○○すべき、○○すれば大丈夫という答えを持ってはいません。

むしろ、そんな答えなんてないんじゃないかと思っています。

一人一人がとらえる言葉の意味が違うように。

一人一人が必要とする行動は違うんだと思います。

「知らなかった」が「聞いたことがある」に変わった時に、初めて、自分自身が良い方向へ進むことができるのか?という判断力を私たち保護者も、そして子供たちも考えることができたら良いのではないでしょうか。

今、改めて、『「知らなかった」から「聞いたことがある」』にするために、どんなアプローチの方法があるのかを考えながら、お盆の休暇をゆっくり過ごしたいなと思います。

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8/10~8/17まで、少し長くなりますが、子供とネットを考える会はお盆休みをいただきます。

Twitterでの短文での情報提供は行う予定ですので、よろしければそちらをご覧ください。