106 消えないデータを考える

Post date: Jan 9, 2015 11:21:14 PM

情報モラルの啓発としては、写真などはネットに流れてしまったらもう消すことはできないと言うことになっています。たくさんの人に拡散し、それぞれが保管されれば自分の力で消すことはできません。だから、写真をネット上に安易に載せないようにと言っているわけですが、もっとリアルに考えてみると、ネットに流れていないけど、機種変更した古い方の携帯に入れたSDカードや、本体メモリにも入ったままになってることもあると思います。

様々な記録媒体の変遷があり、インターネット上にデータが保存されるようにもなり、随分年月が立ちました。

古くはパンチカード、カセットテープ、フロッピーディスクときて、MOディスク、ハードディスク、CD-R、DVDーR、そしてUSBメモリ、SSD。これらの媒体は、いつまで保管できるのでしょう。放置しておくのはすこし気持ち悪い気がしますね。特に最近でてきたSSDというディスクは、完全に消すのには専用のソフトウェアが必要だそうです。

また、ここ数年でクラウド保存が好まれるようになりました。dropbox、iCloud、などなど。WEBサービスとしてのストレージ(記憶媒体)は続々と現れました。そういえばGoogleの宣伝で、未来の子供に送るために子供用のアカウントを作って、メールを送っておく、なんていうCMがありましたが、子供が大きくなるまでおおよそ20年。Googleは本気でこの20年を保存していくでしょう

中には中古商品として端末を手放す方もいますよね。そういう時、記録はすべて抹消して渡している方はどれくらいいらっしゃるでしょう。業者任せ、なんて話も聞きます。信頼できる業者だと良いのですが、まれに悪質なデータ流出事例もあるようです。

昔、知り合いに、パソコンをもらってきたからセットアップして、と頼まれて行ったことがあります。病院で使われていたパソコンで、そのまま破棄する予定のものを持って帰ってきたそうなのですが、見るとWindowsが立ち上がり、すべてのデータが残ったまま引き渡されていました。

さすがにこの個人情報に目を向けることさえもできず、そのままハードディスクを物理フォーマットしたのは、もう20年くらい前の話です。

家電屋さんの店頭にいくと、「完全復活」とか「完全消去」なんていうソフトウェアが販売されていますので、それを見れば察しの良い方は、普通にゴミ箱を空にするだけでは消えないことに気がつくでしょう。

データは削除しただけでは実は消えていない、という話はIT系では周知の話なのですが子どもたちは知らないかもしれないですね。

ただでさえ、「相手が見たらすぐ消去される写真アプリ」なんて文句をそのまま疑わない子たちもいますから、簡単には消えない、という事実は子どもたちには先に教えておいてあげる必要があると思います。

ファイルコピーもすぐできますし、通信が高速になったためにすぐにネットの向こうに転送することも可能です。ちゃんと消すからと言われても、忘れて消さないかもしれないですし。

ぱっと見ただけではデータはどこに保存されたのかもわからないし、いつ復活されるかわかりません。データを安易に複製すると、消したつもりでも残っているかもしれません。

ネットに流さなければ大丈夫!

こういう風に思われるとちょっと困ります。暴露ウィルスなどに感染してデータ復活されてネットに流されるなんてこともありえます。先日、アメリカ女優のポルノ写真が出回ったというニュースもありました。

そもそも、誰かに見られたら困る写真を取る方が間違いである、と京都府ネット安心アドバイザーの会議でも話題として出ていました。本当にその通りですよ。

ネットに流さない

おかしな写真とらない

そもそもおかしなことしない

こう言っておくことも重要なのですが、様々な利用形態の中では、

そのデータ、消える保証がどこにもない

ということを理解しておきたいですね。

ハードディスクを破棄するときは、ドリルで穴を開けるという方もいらっしゃるようです。物理的破壊にまさるものなし、でしょう。ただ、犯罪などがあった場合には、この簡単には消えないという特性が証拠保全につながることがあります。良いこともあれば悪いこともあると、思っておくのが良さそうです。

逆に残して置きたいと思っているのにハードディスクを壊して家族の写真を数年分ぶっとばしたこともあります。そういうこともあるのです。諸行無常。