107 よしだともこ先生より〜1年経過して〜

Post date: Jan 9, 2015 11:24:42 PM

今日は、1年ぶりによしだともこ先生のコラムをお届けします。

子育てはそろそろ卒業かと思わせるよしだ先生、先生のお子さんは随分しっかりした考え方を身に付けられたようです。対話あってこそだと思います。ITを常に楽しみながら、その中でもケータイ・スマホと子供の世界の中で、子供が本当に必要なものは何だったのか、会話から見えてくるような気がしました。

よしだ先生のコラムの最後にも案内がありますが、下田博次先生が京都ノートルダム女子大学にいらっしゃるそうです。関西ではなかなか下田先生のお話を聞くチャンスはないと思いますので、気になっていらっしゃった方には朗報ですね。

ではどうぞ。

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「子供とネットを考える会」の読者のみなさま

お久しぶりです。1年前の9月に【コラム特別編:よしだともこ先生より】というエッセイを書かせてもらって、あっという間に1年が経ちました。

1年ぶりにあのエッセイを読んでみると、当時の自分の気持ちが蘇ってきて、懐かしい気持ちになりました。そこで、「そうだ!娘のことや、研究などのことの近況報告を兼ねて、続編を書こう!」と思い立ち、文章を書くことにしました。

では、1年前の自分のエッセイを読んだ感想のあたりから、書いていきたいと思います。

●12歳と13歳の1年の違いって大きい・・

娘が12歳だった1年前に「子育て真っ最中のよしだ先生」と言われて、何の違和感もなかったことに驚きました。娘が13歳になった今、「子育て真っ最中の〜」と紹介されると、絶対に「もう子育てモードってことないですよ。私の方が、娘に頼ってる部分もあります。」と、返すと思います。

さらに1年前のエッセイでは、「ケータイ(スマホを含)に関しては、与える予定は今もありません。」という文章を、当然のように書いているんですね。「与える・与えない」って表現は、思いっきり上から目線ですよねぇ。

今なら、こんな表現は絶対に使わないと思います。「私はこういう理由でこう思うけど、あなたはどう思うの?」みたいな、対等とは言えないまでも、相手の意見を聞いて、歩み寄る姿勢で日々、娘と接するようになりましたから。

ではここで、春に中学生になった、うちの娘に関しての質問です。

「ケータイ(スマホを含)を持っているか・持ってないか。」

中学入学時に「欲しがったか・欲しがらなかったか。」

もしも今、持ってなかったとしたら、

「欲しがっているか・欲しがっていないか。」

どう思われますか?驚くべきことに、うちの娘の場合、

「(ケータイ・スマホを)今も持っていない。」

「(中学入学時にも)欲しがらなかった。」

「今も欲しがっていない。」

なんですよ。

理由を聞くと、「家に帰れば、自宅のネット環境でLINEもメール交換もできるから、困ってない。」とか「スマホは毎月の利用料が異常に高いから、使わないと損だと思って使うのがよくない。」などと、クールに言っています。

ここまで本人が冷めていると、逆に小心者の私の方が、「自分のケータイ番号を持ってないと、友だちに聞かれたとき、困るんじゃない?」と聞いてみるのですが、「最近は、LINEやメールアドレスは聞かれるけど、ケータイ番号は聞かれない。」とのことです。今どきの中学生は、電話で相手に連絡を取ろうという発想は、あまりないのかもしれません。

(私自身、大学生のゼミ生に連絡を取りたいときに、電話をすることはまずなくなったので、中学生に限らず、電話は使われにくくなっているということなのでしょう。)

そして、2014年春以降、毎月の利用料の安いスマホも出てきたので、わざと「毎月の利用料が安いスマホも出たから、お小遣いの範囲で持てるねぇ」と言ってみると、「どうせ持つんだったら、iPhoneがいいから、今はいらない。その方が、もっと新しいiPhoneが持てる」と、軽くかわされてしまいました。

以上が、我が家の近況報告です。この1年で一番変化したのは、母親としての私だなぁ〜と思いました。

1年前までは、「我が家のネットのポリシーとは」などと、立派な母親像を演じていたのが、本当に不思議な気がします。ここ10年以上、たとえば、「今、メールを読み書きしたいんだけど、娘が寝てからにしよう」などと我慢していたことや、娘との時間を増やすために、いろいろなお誘いを断ってきたことなど、そろそろ解禁してもいいかな、と思っています。

●「ネットワークリテラシー」や「プログラミング」の教育に関して・・

「ネットワークリテラシー」と「プログラミング」は、ある時期以降に効果的に身につけるべきで、前者に関しては、私も著者の一人である『新インターネット講座』がお勧めですよと書いたのですが、2014年3月に、この本の改訂新版が発行されました。

『改訂新版 インターネット講座: ネットワークリテラシーを身につける』

有賀 妙子 (著)、吉田智子(著) 、大谷 俊郎 (著)

http://www.amazon.co.jp/dp/4762828300

この本で紹介しているチェックリスト・ワークシート(PDF形式のもの10種類)、HTMLファイル(JavaScriptファイルやCGIファイルも含み、合計30種類)は、

サポートページ http://www.tomo.gr.jp/internet/

で、すべて公開しています。このページにあるHTMLファイルのソースコードを読めば、HTMLタグの基本から活用までに加えて、JavaScriptやCGIの基本も学ぶことができます。ので、まずは、本を買わずにネットでチェックリスト・ワークシート・タグの基本を学んでもらっていいですよ。

あ〜、思い出しました。去年の今頃に、この改訂新版の執筆をしてて、私は本文の前半と、多くのコラム執筆を担当していました。ので、上述の【コラム特別編:よしだともこ先生より】から、我が家の娘の話など、個人的な部分をごっそり抜いて、以下のコラムを仕上げて、新しい本に掲載したのでした。

「ネットを使いこむ時期は遅い方がネットをより活用できる大人になれる?!」

http://www.tomo.gr.jp/internet/column_1.html

「プログラミング教育」に関しては、近年、小中高校生がプログラミングが学べる場も増えてきましたね。京都では、

「Tera school」(テラスクール)

http://www.teraschool.jp/

が、土日プログラムとして、プログラミングが学べる講座を開いています。春スタートの講座では、PENという教育用プログラミング環境(http://pen.moe.hm/)でプログラムに入門し、その後でJavaScriptを使って、自分が欲しいWebアプリケーションを作る内容になっていました。うちの娘も通っていて、簡単な英語の質問に答えていくと、「英文の日記」が自動生成されるアプリを作っていました。

ここで、小学6年生~中学3年生向けの「プログラミングコース」が、10月スタートで実施されるそうです。

「Tera school土日プログラム」

http://www.teraschool.jp/#!program/c11m6

それから、私は共同研究者と2013年度から「プログラムによる計測と制御を学ぶための女子生徒向け教材の開発と普及」というタイトルの研究を始めています。昨年度の長〜い試行錯誤期間を経て、今年度の春から夏にかけては、LilyPad Arduinoという手芸にも使えるマイコンを使って、かわいいモノ作りを通して、プログラミングを学んでいくプロジェクトを、私の所属する学科の学生も巻き込んで実施することができました。

OSCでエプロンコンピューターを出展、発表しました!(2014.8.5)

http://notredameningen.kyo2.jp/d2014-08-05.html

こちらのプログラミングにも、教育用プログラミング環境のPENを使っていて、LilyPad研究会のページ(http://lilypad.pen.jp)では、イベントで発表した時の資料や、実際に作ったモノの写真や動画も公開していますので、よかったら見てやってください。

先週、私は「ピアノのおけいこ」レッスンバッグ( http://lilypad.pen.jp/?&7B7hKL6f

というのを作りました。子どもをピアノのおけいこに連れて行った経験のあるお母様方には、このバッグは気に入ってもらえると思うのですが。

PENの環境はオープンソースで公開されているし、Javaで動いているので、Windows上でもMac上でも動くプログラミング環境が、簡単に整えられます。LilyPad Arduino用のプログラムが書けるPENの環境の整え方も、上述のページに親切に説明されています。家庭でのプログラミングの環境作りは、少しでも簡単に、そして無料で整うのが一番、ポイントが高いと思います。その点で、PENはお勧めですよ〜。

あと、モノづくりは、「この作品ができたら、喜んでくれる人のこと」と考えながら作るのがポイントですね。結局のところ、娘に喜んでもらおうと思って作っていた「ピアノのおけいこ」レッスンバッグですが、娘よりも、プログラムことはまったくわからない実母の方が感動してくれました。

また、「あーん、ト音記号を作りたいのに、フェルトをカッターナイフで切るのが難しい」と、四苦八苦している私を見てた夫が、すご〜くきれいなト音記号を切ってくれました。ありがとう!ってここで夫につぶやいても、読んでくれないかもしれないのですが。

●京都ノートルダム女子大学に下田博次先生が来られます!

最後になりましたが、「子供とネットを考える会」のサイトの読者の方へのアナウンスです。

「液晶画面に吸い込まれる子どもたち」(女子パウロ会出版)

http://www.amazon.co.jp/dp/4789607267

の著者として有名な、下田博次先生と奥様の下田真理子さんが、2014年10月18日(土)に、京都ノートルダム女子大学で、講演をしてくださることになりました。

「液晶画面に吸いこまれる子どもたち」(心理学部主催 公開講座)

http://www.notredame.ac.jp/news/detail.php?id=217&category=8

本学の心理学の先生も交えて「スマホ時代の若者像 青年心理学と臨床心理学の視点から」というタイトルでのパネルディスカッションもありますので、興味のある方は、我が大学まで、足を運んでいただければと思います。

以上です。今回は、一方的に、言いたいことをつらつらと書きならべたような文章になってしまい、失礼しました。これからも、どうぞよろしくお願いします。

京都ノートルダム女子大学 吉田智子(よしだともこ)