135 子供たちはどうしてあんなことするんだろう

Post date: Dec 11, 2015 6:12:14 AM

【コラム:子供たちはどうしてあんなことするんだろう】

そういうセリフをよく聞きます。

「なんで!?」

子供たちがネットの向こうで、露わな格好をしていたり、馬鹿なことをしていたり。そこにどんな理由があるのか、理由について怪訝な顔をする方、大変多そうです。

多くの場合、子供たちはネット上の露出で何らかの対価を得るようなことはしていないように見えます。そこに儲かる仕組みはあまりなさそうです。つながり依存、という言葉も聞きました。ネット上の誰かと繋がる。それだけで楽しんでいるように見えます。

知らない人と違うどこかで友達になるのが浪漫だった時代がありました。文通友達募集とかそうですよね。顔も知らない人と繋がろうとする衝動。青少年時代からの特有の心理があるのかなあと考えたりしています。

違う誰かになりたい。こういう衝動もまた覚えがあります。仮装行列や、様々ななりきりグッズ。コスプレは今や娯楽産業の一分野となっているようです。

こんなことしたら怒られるかな。笑ってくれるかな。

子供ってそうだったじゃないですか。注目を集めるための様々な行動。突拍子もないことをして、小さな時は笑ってもらえたし、かわいがってもらえたし。保護者はカメラを向けてその微笑ましい行動を記録していましたよね。

注目を浴びたい、知らない人と話したい、という衝動は、自然に湧き上がる心理なのであって、特別な理由なんて別にないと思うのです。

むしろ、理由を考えてしまうその心理のほうに、疑問をもってみてはいかがでしょう。

多分、年を取れば取るほど、学べば学ぶほど、現象に対しての「理由」や「根拠」を求めてしまう心理。これが、子供たちの行動を理解するための阻害原因になっているのではないのでしょうか。単に新しいツールが目立ちすぎて方法が昔と違うだけで、その違いに振り回されているようにも見えます。新しいツールに対する敬遠感も気にかかります。

もちろん、深刻な家庭事情や心に闇をかかえたような事例も見かけますから、その見極めをするためには大事なことなのでしょうが、それも一部であり、カジュアルに楽しんでいる子供たちに対してその理由を考えるのは、筋が悪いようにも思います。

心理学で見かけた事例の一つに、人が亡くなった時の遺族が、医師に問いかける場面のお話があります。「この人は何故死んだのか」という問い。

医師は病名を告げますが、遺族が聞きたいのは病名ではない。How、どのように死んだのかではない、Why、何故死ななければならなかったのか、社会的使命か何かを問うている、そういうお話です。

極端な事例ではありますが、「なんでこんなことするんでしょうね」なんて言葉を聞くたびにこの事例を思い出します。

その疑問もまた、自然に湧き上がる心理なのでしょうね。